猫が白内障になる5つの原因と症状、その治療法とは

猫が白内障になる5つの原因と症状、その治療法とは

猫も人間と同じように白内障になってしまう事を皆さんはご存知でしょうか?猫の白内障も人の白内障と同じく、目が白く濁ってしまう病気です。その白内障によって様々な辛い症状が引き起こされてしまいます。今回は猫の白内障の原因や治療法を紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の白内障の原因

両目が白く濁った猫

出典:http://cutecats.candra.info

猫も私達人間と同じように、目の病気「白内障」にかかってしまう可能性がある事をご存知ですか?猫などの動物も人間と体の構造が似ているので、例えば風邪や胃腸炎、癌等、人間と同じような病気にかかります。

今回は猫の白内障という病気について紹介します。

まずは猫が白内障になってしまう原因について、5つ考えられています。

  • 遺伝
  • 基礎疾患
  • 有害物質
  • 放射線や電気ショック
  • 傷や栄養不良

猫の白内障の原因① 遺伝

1つ目の原因は遺伝です。白内障を発症しやすい品種として考えられているのがペルシャ、ヒマラヤン、バーマンといった品種の猫です。

猫の白内障の原因② 基礎疾患

2つ目の原因は基礎疾患です。糖尿病や低カルシウム血症、ブドウ膜炎などの病気によって白内障が引き起こされる可能性があります。

猫の白内障の原因③ 有害物質

3つ目の原因は有害物質による白内障です。ジ二トロフェノールやナフタリンといった毒物が白内障を引き起こしてしまう事が分かっています。

猫の白内障の原因④ 放射線や電気ショック

4つ目の原因は、腫瘍治療による放射線や感電事故による電気ショックで白内障が引き起こされてしまう可能性があります。

猫の白内障の原因⑤ 傷や栄養不良

5つ目の原因は異物が目に入って傷がついて水晶体が元の位置からずれてしまう事によって起きてしまったり、栄養不良が原因で起きてしまう白内障です。この5つ目の原因で白内障になってしまう猫が多いようです。

猫の白内障の症状

猫の白く濁った目

出典:http://www.eastcottreferrals.co.uk

白内障は目の水晶体が濁ってしまい、外観からもその目の濁りが白く濁っているのがわかります。猫の白内障は

未熟白内障

水晶体の一部が濁っている状態

成熟白内障

水晶体全体が白く濁っている状態

加熱白内障

水晶体の濁りが進行し、融解が起こった状態で、眼球の中に融けた残存物を見ることができる

の3つの段階に分けられます。

白内障が進行してしまうと視覚障害が出てきて

  • 少しの段差で躓いてしまう
  • 柱や壁にぶつかって階段の上り下りを嫌がるようになってしまう
  • 暗い所で行動するのを怖がって拒否するようになる

などの症状が現れます。
それに伴って

  • 視力の低下
  • 充血
  • 発熱
  • 涙や目やにが多くなる
  • 嘔吐
  • 食欲不振

などの症状も出てくる可能性があります。

白内障の症状は両目に現れるか、片方の目に現れるかに分かれます。片方の目に症状が現れた場合は行動にあまり変化が見られませんが、目やにや涙といった症状を伴う事がありますので猫の普段の行動を気を付けてチェックしましょう。

猫の白内障の治療法

2枚のレンズ

出典:http://phys.org

猫の白内障の治療法① 対症療法

症状の軽減を目的とした治療法で内服薬や点眼で白内障の進行を遅らせる治療法です。

猫の白内障の治療法② 外科手術

過熱白内障に進行してしまい、ブドウ膜炎や網膜剥離などを引き起こしてしまう可能性がある場合に、高周波の振動で水晶体を壊して白内障の白い濁りを吸い取る「水晶体乳化吸引術」や、水晶体を外科的に取り除く「摘出術」等があります。また、手術で失ってしまった水晶体の代わりに人口の眼内レンズが装着される事もあります。

猫の白内障になる仕組み

白内障になった茶色い猫

出典:http://www.eastcottreferrals.co.uk

猫の目には私達人間と同じように、眼球の中に水晶体と呼ばれる組織があります。目の仕組みを分かりやすく説明するには、カメラを想像してみると良いでしょう。

猫の目をカメラに例えると、角膜と水晶体がレンズの部分です。角膜は黒目の一番外側にあり、その黒目の中に水晶体という組織があります。角膜と水晶体はとてもよく似た働きをしていて、目から見えるものを歪まない様に光の屈折を調整して、網膜に映し出すというとても重要な役割をしています。

水晶体の成分の多くがタンパク質で、水晶体の大きさは直径9㎜、厚さ4㎜位の凸レンズみたいな形をしていて、無色透明です。

遠くを見る時は水晶体が分厚くなって屈折率を大きくし、近距離で焦点を合わせます。近くを見る時は水晶体が薄くなって屈折率を小さくして、遠距離で焦点を合わせます。
この様に水晶体は厚みを変えて、私たちが見ている世界をより正確に見せてくれるのです。

この水晶体が白く濁ってしまう病気を白内障と言います。

猫が白内障になった時の視界

白内障になったモネの絵

出典:http://eye-media.jp

白内障の人達が見る世界をよく知るには、画家のモネの作品を見るのが一番参考になります。

モネは白内障にかかり水晶体が濁ってしまった事で「青系の短い波長の色」は網膜に到達せず、網膜に到達する色が「赤系、黄系の色」だけになってしまいました。1900年代に描いたモネの作品に比べると、1923年頃から輪郭がぼやけて黄色味がかかった作品になっています。

このように、白内障になると世界の見え方が変わってしまいます。それは猫にとっても同じことで、猫の目から見える色までは分かりませんが物体の輪郭がぼやけて見えてしまいます。

猫が白内障にならないように飼い主は日頃から猫の様子を観察し「おかしいな?」と思った際には獣医さんに診せる事が白内障の早期発見に繋がります。

投稿者

女性 プティング

猫では稀な病気とは言え、外傷性のものが大半のようです。
愛猫のケガには、充分に気をつけなければいけませんね。

人間では老化によって白内障になることが多いのでそのイメージが強いですが、猫ではそのような事はないようです。
早期発見をしたい所ですが、瞳の半分以上白濁してから飼い主さんが気がつくケースが多いそうです。
普段から愛猫の目に異常がないか、チェックしておくのも大切ですね。

または、歩き方におかしな所がないか観察するのも早期発見に繋がるようなので、きちんと愛猫の様子を見ておこうと思いました。
物にぶつかることが多くなったり、動き回る範囲が狭くなったりするようです。
猫は自分で「ここがおかしい」と言ってくれる訳ではありませんので、飼い主が気づくように心がけないといけませんね。
投稿者

40代 女性 さわ

我が家の猫ちゃんは、12歳になったときに初めて白内障になりました。目薬を入れたりして治療を始めました。
結局、手術をしなければならなくなりお願いしました。術後は、しっかり目が見えやすくなりましておやつも好きな方を選んで食べるようになりました。心も身体も元気になった猫ちゃんは、キャットタワーにも上るようになりてっぺんで居眠りするようになりました。心の余裕も出てきたようです。

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