猫エイズ(FIV)を発症した時の症状や治療、予防の方法

猫エイズ(FIV)を発症した時の症状や治療、予防の方法

「猫エイズ」というものを知っていますか?猫を飼育している方なら、猫免疫不全症候群・感染症、通称「猫エイズ」についてご存じのことでしょう。一体猫エイズに感染した猫にはどのような症状が出るのでしょうか?また、どのような猫エイズの予防方法があるのでしょうか?「猫エイズにはワクチンがあるから大丈夫」という方もちらほら見かけますが、それは少々危険な安心感といえます。また、猫エイズは人間や犬に感染するの?という疑問を持っている方も多くいると見受けられます。ですので、この記事で猫のエイズ(FIV)についての基本的な知識を身につけて、猫を猫エイズの感染から守ってあげてくださいね。

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫エイズとは?

横たわる白黒の猫

猫エイズとは、猫免疫不全ウイルス(FIV)のことです。FIVというウイルスに感染することで発症する病気で、FIVウイルス自体はとても弱いため、空気感染などの心配はありませんが、血液や唾液などを介して感染することがあります。

猫エイズは感染力が弱い

そのため、猫エイズキャリアの猫に噛まれてしまったり、血液と血液が付着してしまうことで感染をします。しかし、その感染率はとても低く飼い主様がしっかりと注意をしていれば感染することはほぼないとも言われています。

猫エイズは完治しない

しかし、猫エイズに一度感染すると完治をすることはないため一生付き合っていかなければならない病気ではありますので、健康な猫ちゃんが猫エイズに感染しないように細心の注意を払う必要があるのは事実です。

猫エイズでも天寿を全できる

また猫エイズに感染しているとしても、猫エイズのキャリアの中には潜伏しているだけで発症をすることなく天寿を全うするちゃんも多く存在していますので、飼い主様の健康管理によって生死が左右されやすい病気でもあります。

猫エイズの感染経路

猫エイズの感染経路でもっとも多いのが母体感染です。猫エイズに感染している母猫から生まれることで子猫が感染をしている場合もあります。ちなみに、猫エイズと聞くと「人間が噛まれたらエイズになるの?」と、怖くなっている方もいるかもしれませんが、人間のエイズとはまた別なのでご安心ください。

猫エイズの症状

眠る猫

猫エイズが発症すると「傷が治り難くなる」

まずは猫エイズが発症すると、非常に顕著なのが傷が治り難くなることです。化膿したり、いつまでも傷口が開いたり、時には分泌物でグズグズになったりします。単なる皮膚炎と思っていあたら、それが猫エイズの最初の予兆と後から気が付くことは多いです。

猫エイズが発症すると「体がむくむ」

次に顕著なのは、抵抗力が低下したり腎臓・肝臓が悪化することです。腎臓・肝臓が非常に機能低下することが多いです。そうなると、体がむくんだりしますが、猫の場合は体毛があるので飼い主さんのほとんどは気が付きません。

また肝臓肥大や腎臓が硬化したり、内臓異常でお腹が膨れて一時期太ったように見えることもあります。

猫エイズが発症した時の末期の症状

そして動物病院で診察したら、「肺に水が溜まっています」となったら、それが既に手遅れで末期症状、亡くなるのは時間の問題です。ここから先は、猫の免疫力と体力、そしてウイルスとの猫の体の中の戦いになります。

しかし発熱で食欲が落ちていることがほとんどですから、猫を存命させるのは非常に困難であることを留意してください。

猫エイズに感染すると「免疫力が低下する」

猫エイズをまだ発症していない段階でも、症状が見られることがあります。その中でも特に注意をしてほしいのが、免疫機能の低下による症状です。

免疫力が低下をすると体に侵入した細菌などと闘う抵抗力が弱まってしまうため、病気や傷が治りにくくなってしまいます。例えば口内炎がなかなか治らなかったり、皮膚疾患が現れたり、猫風邪の症状がいつまでも治らないなどです。

猫エイズキャリアの場合、免疫力が低下するためちょっとした風邪でも命の危険にさらされることもありますのでしっかりと注意をしてくださいね。

貧血

猫エイズに感染すると骨髄が破壊されることにより、赤血球を作り出せなくなり貧血になる傾向にあります。猫にとって貧血というものは重症化しやすいものでもありますので、貧血の症状が見られたら早めに獣医師に相談をしましょう。

腫瘍

いわゆるがんを発症してしまうのも猫エイズの特徴です。猫エイズは免疫力が低下しますので、通常であれば抑え込めるがん細胞が抑え込めなくなるのが原因とされています。

猫エイズに感染したときにもっとも恐ろしいのが免疫力が低下することです。通常であれば抑え込める症状でも、抵抗力が弱っているためすぐにダメージを受けてしまいます。猫エイズに感染をしても、発症しない場合はありますがやはり通常の猫ちゃんよりも体調管理に気を使ってあげるようにしましょう。

猫エイズの治療方法

仰向けになる猫

猫エイズだと診断された場合、何か治療を行うのかというと残念ながら根本的な治療法は見つかっていないため症状に合わせた対処療法が施されます。

主な治療法は細菌感染を防ぐための抗生物質の投与と、健康を維持するために飼育環境を健全なものにする見直しが行われます。猫エイズに感染をするとちょっとした油断が命取りになりますので、清潔で快適な環境をいかに作ってあげるかというのが大切になります。

  • 清潔な飲み水の用意
  • 餌や水を飲む食器を清潔にする
  • 新鮮な餌
  • 清潔なトイレ
  • 快適な寝床
  • 飼い主様とのスキンシップ
  • 適正体重の維持

など、健康を維持するために行えることは全ておこなってあげましょうね。こうすることで猫エイズに感染をしたとしても、発症をしないまま天寿を全うできる確率はグンと高くなります。ぜひ猫にとって快適な住みやすい環境を整えてあげることを心掛けましょう。

猫エイズを発症させないための予防策

マスクをする人
  • 猫エイズが発症しないよう体力と免疫力を落とさないようにする
  • 猫エイズが発症しないよう体重を測っておく

猫エイズが発症しない為の方法 食事に気をつける

必要な栄養素を無駄なく吸収・利用できる餌を、こまめに与えるようにしましょう。猫エイズウイルスを発症させないようにするためには、猫の体力と内臓機能に常に配慮して免疫力を落とさない事です。これは発病後の寿命の引き延ばしにもつながります。

猫の餌に関しては、偏食は絶対に避けるべきです。加えて安い食いつきが良い餌を選ぶのも、絶対に避けた方が無難です。安い餌は糞も多く、吸収される栄養価が低くなる場合があります。

また猫の肝臓は、体重に対して決して大きくは無いため、味の濃いものは猫は味蕾の未発達で非常に好みますが、その分内臓には負担をかけてしまいます。

猫の場合日本では真冬の寒さがあるため、暮れに向かって体重が増えるのが普通です。しかし猫は貯め食いが出来ません。これは消化器官が肉食性の為に短いからです。そして、原種から砂漠に住んでいたまま、その体機能を引き継いできているので、水を飲む量も動物にしては少ないです。

猫エイズが発症しないよう体重管理をしっかりする

猫と天秤

猫を飼う人で、コンスタントに体重計に愛猫を乗せる人は少ないでしょう。しかし、体調不良から猫エイズが発症してしまう可能性がありますので、猫エイズを患う猫はこまめな体重測定が大切です。体調が悪くなると著しく体重の減少が見られます。

猫の食欲が極端に落ちる時は、体重で必ず現れるものです。せめて季節の始まりと最後くらいは、愛猫の体重を測ってください。重要なのは平均体重ではなく、「落差」です。

猫は暑さには強い動物なので、夏場だからと食欲が極端に落ちることはありません。むしろ活動を控えたがる冬場の方が心配です。普段から与えるエサには十分配慮してください。水を飲む回数と量が極端に増える様なら、内臓に何か障害が出た可能性を疑ってくださいね。

猫エイズでも多頭飼いはできる?

5匹の猫

結論から言いますと注意点を守れば可能です。ただし、猫エイズに感染をしている場合、確率は低いとは言っても何らかの拍子に健康な猫ちゃんに感染してしまう危険性もあります。そのため注意点としては以下のようなものがあります。

  • 食器の共有を避ける
  • 健康な猫と猫エイズの猫は分けて飼育する
  • 鉢合わせをして喧嘩をさせないようにする
  • 感染を防ぐため消毒を徹底する
  • ワクチンを接種する

一番重要なのが、健康な猫と猫エイズに感染している猫の住環境を分けられるかどうかという点です。猫エイズは感染力は弱いとは言ってもゼロではありませんので、同じ生活圏で飼育をしてしまうと感染するリスクは高くなります。

また、猫エイズのワクチンが存在はしていますが100%防げるものではないため、ワクチンを接種したからといって同じ環境で飼育をするのは大変危険です。

そのため、感染を防ぐためには生活するお部屋を分けてしまうのが一番の予防法です。ただ、猫エイズに感染している猫同士を飼育するのであれば特に問題はありません。

多頭飼いをどうしてもしなければならない状況にあるのであれば、隔離して飼育ができないか考えてみましょう。

猫エイズが発症するタイミング

猫エイズに感染した子猫

実はこの猫エイズの根本要因である「レトロウイルス」は検査で陽性と出た猫が必ず発症するとは限らないのです。エイズに感染したまま元気に寿命を全うする猫もいます。

猫エイズが発症するのは、猫の免疫力が落ちた時です。この僅かなタイミングをエイズウイルスは見逃しません。

つまり、現在捨てられた猫を拾ったり、あるいは他で繁殖された猫を育てるケースなど、動物愛護の観点で猫をそうして飼う場合が増えています。その時、既にその子猫がウイルス保持をしている状態、ウイルス・キャリアである場合、予防のエイズワクチン投与は必要ないということになります。

捨て猫を拾った時や、外で飼っていた猫、環境の悪い場所でお迎えした猫は必ず、エイズを含むウイルス検査を受けましょう 。

猫エイズの感染ルート

猫エイズへの免疫力を高める母猫と子猫

猫エイズウイルスを持つ猫との接触

本来、自然繁殖する中では猫エイズは、猫にとって無縁でした。本来猫エイズはエイズウイルスを持っている猫との濃厚接触(血液、唾液を含む体液が体内に入る)で感染が起こり、接触がなければ一生持たないままで過ごします。

エイズに感染している母猫からの母子感染

母猫がウイルスを保有している場合は子猫に感染が多る可能性が高くなります。どのくらいの量のウイルスに感染したか、抵抗力があるかが発症の有無に影響します。

外に出た事が無い猫がエイズに感染している確率

外に一切出ることがないエイズウイルスを保有していないことの確認ができている親から生まれた場合は、エイズウイルスを持っていないと判断しても問題ないでしょう。

しかし、この猫が外に出てウイルスを持っている猫と濃厚接触を持ってしまった場合はエイズに感染してもおかしくないのです。抵抗力はあるに越したことはないですが、どのような環境で生活するかも大きく影響します。そのため、猫エイズのリスクはすべての猫にあると言って良いのです。

猫エイズのワクチンにおける誤解

誤解に気づいた人

ワクチンとは、血清のような特効薬ではありません。言ってみれば無毒化したウイルスです。ワクチンはこれを投与し、猫自身がその免疫力でウイルスと戦い、体内に抗体を作ることを期待するためのものです。

従いワクチンを投与された直後から、体力や免疫力が落ちている場合、ワクチン投与で容態が悪化することもあります。

猫エイズに関するまとめ

診察中の猫

恐ろしい猫エイズも、免疫力が高い健康な猫の場合はうまく付き合いながら長生きすることはできるかもしれません。しかしながら、体内に入ってしまったウイルスの量と免疫力、ほかの病気が発症してしまい体力が落ちるなどの影響は強く受けます。
とにかく一度発症したら、飼い主さんは「覚悟」が必要であることを心に留めておいてくださいね。

投稿者

40代 女性 ぺぱみん

我が家の猫もエイズキャリアです。ノラですが母猫が目やに傷だらけや、下痢などもう病院でもての施しようがなく、一緒にいた子猫2匹を引き取りました。その際の検診でエイズ陽性でした
否認手術を六か月目でしましたが、病院で手術による苦痛がストレスとなり、それが引き金で発症することも覚悟してくださいと言われました。
悩んだけど、それ以上に子宮系の病気になったときの免疫力が落ちる方がリスクが高いと言うことで、否認手術をしました。
それから半年たち一歳を迎えましたが今のところ2匹ともよく食べよく寝てよく遊び、人懐こく元気にしてます。
食事と同様ストレスが大敵とのことなので、ひと部屋を猫タワーなどつくって、時間のあるときは出来る限り関わって遊ぶようにしています。
2匹ともキャリアなので、どちらか一匹が発症しても隔離することはないと言われたので、発症しないことを願いますが、もし発症してもできる限り一緒にいさせてやりたいと思います。
ちなみに、先住猫七歳もいて、この子はエイズではないので、部屋を完全に分けています。
古い借家ですが幸い2階建てなので‥‥。
思いもよらないことがストレスとなり発症へ繋がるらしいので、トイレ掃除も念入りに、掃除機はかけずコロコロとホウキで部屋の掃除をしています。できるなら発症せず寿命を全うしてほしいなぁと思います。
投稿者

40代 男性 匿名

猫が風邪を引いたんで病院に連れていったら、猫エイズが発症していると診断されて入院させましたが、私が面会に行ってから1時間半後に容態が急変して死にました、私は猫に顔を付けて大声で号泣しました、次の年の2月に妹の猫が風邪を引いたんで病院に連れていったら、その猫も猫エイズが発症していて、その時に初めて遺伝性だと分かったんです、その猫はボロボロでやつれてまともに立つことも出来なければ動けないのに猫トイレに行こうとしたりして、布団では足れないようにしていて気丈に振る舞っていて、やっとで立って歩いて私に倒れ込んで横になったりして私はそれを見ていられなくて、泣きながら死んでいいぞと言いました、その年の秋にも猫が猫エイズで死に私は号泣し、次の年の11月にも猫が猫エイズで死に私は人生の中でこれ以上ない程までに大声で大号泣してショックで低血糖を起こしました。
投稿者

50代以上 女性 匿名

5~6年前に野良だったのを、なついてきたので我が家で引き取りました。
女の子だったので、避妊手術に連れて行きましたが、どうやら飼い猫だったようで、すでに避妊されてました。
獣医さんの話ではその当時は3~4才くらいだろうと言われました。
それから6年。
多分9~10才くらいかな。
この夏の終わり頃、よだれがひどく、食欲もなかったので病院へ連れて行くと猫エイズだと言われました。
口内炎のお薬を頂いて飲ませると、よだれも少なくなり食欲も戻ってきたのでホッとしています。
ただ、何処かで怪我をしたのか、額の毛が少し割れて地肌がみえてます。
これも猫エイズのせいなのか?
年齢的にも覚悟が必要かな、とおもっています。
この冬、乗りきってくれるかどうか!
出来るだけストレスを与えないようにするしかないのでしょうね。
投稿者

40代 男性 匿名

今かみさんがベランダでエサをあげている猫の1匹が歯がなく食欲もなく今家の中で保護しています。
猫エイズかどうかわかりませんが良くなってほしいです。
この時間は動物病院も開いてないとこも多いので不安です。
投稿者

20代 女性 匿名

お迎えした保護猫ちゃんが2匹ともエイズキャリアです
おそらく10歳を超えていると言われました
歳も病も知ったうえでお迎えしましたが、一緒に暮らしてみると可愛くて可愛くて。。
どれだけお金がかかってもいいから、天寿を全うさせてあげたいです
人間のエイズだって治療する方法があるのだから、猫もなんとかならないのでしょうか。。

スポンサーリンク