猫の平熱は人より高い!正しい体温の測り方と熱がある時の対処法

猫の平熱は人より高い!正しい体温の測り方と熱がある時の対処法

概要

  • 成猫の平熱は38~39度で、40度以上ある時は病院へ
  • 肛門に直腸体温計を挿入して測るか、耳体温計で測る
  • 熱がある時、猫風邪、FIP、猫汎白血球減少症、熱中症等の病気が考えられる

猫の平熱を知っておくと体調変化に気付くことができます。体温を測る方法は一つだけではありません。検温の仕方や発熱と関係のある病気を知っておきましょう。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の平熱は38度から39度

体温計を脇に挟む猫
  • 猫の平熱:38度~39度
  • 産まれたばかりの子猫の平熱:35度~36度
  • 生後二か月ごろまでの平熱:38度後半
  • 8歳以上のシニア猫の平熱:37度後半~38度前半

人間よりも猫の平熱は高いため、抱っこをすると暖かく感じます。体温の変化は健康のバロメーターとなる項目の一つになります。

年齢によって平熱は変化するので、日頃から愛猫の平熱を知るために検温をすることは、健康管理のために必要なことです。

何度以上が微熱や高熱なのかは猫によっても違いますが、体温が40度以上ならすぐに病院へ行きましょう。

猫の平熱を知るための正しい検温の方法

検温される猫

肛門に体温計を挿入する

猫の体温は、肛門から体温計を挿して直腸の温度を計るのが基本です。使用する体温計は人間用でも代用可能です。

体温計にラップを巻く

ラップを巻き、オリーブオイルやワセリンを塗って肛門に挿し、2cmから3cmのところで腸壁に当たるようにします。

ただ、人間用の体温計は固く腸壁を傷付けてしまう可能性や、折れてしまうことも考えられます。水銀体温計も避けた方がいいでしょう。

動物用の体温計は先端が柔らかく曲がるタイプがあり、専用の使い捨てカバーもあるので取り扱いが楽という特徴と利点があります。計測時間も10秒と短いタイプもあるので猫の負担が少なくすみます。

また、猫はお尻を触られるのが嫌いなため、一人で行うのは難しいかもしれません。体温を測るときはできれば2人で行うとやりやすいです。

どうしても肛門で検温できない場合は、後足や前足の付け根に体温計を挟んで検温することもできます。毛で覆われているため、直腸で検温するよりも0.5度から1度低くなることの注意が必要です。

暴れてじっとできない猫には、直腸体温計に比べて高価ですが、耳体温計が便利です。耳の入り口に当てると1秒で検温ができます。

直腸、耳、足の付け根を体温計を使って測ることができますが、検温する場所を毎回変えずにどこか一つに決めておいた方が、検温の値にズレが出ません。

また、食事の後、運動の後など興奮したときは体温が高くなります。

触って確かめる

触るだけなので体温を測ることとは違いますが、発熱に気が付くきっかけになります。

体温が分かりやすいのは、毛が少ない場所です。額、耳の付け根、肉球が分かりやすい場所と言えます。猫が起きているときはヒトと同じようにひんやりしていますが、熱があるときは起きていても耳が温かくなります。

ただ、これもヒトと同じなのですが、眠たいときや良く寝ているときは耳は温かくなるのが注意点です。額や耳、肉球が熱く、さらにいつもと様子が違うときは早めに病院へ行きましょう。

猫に平熱以上の熱がある時考えられる病気とその治療法

タオルに包まる猫

猫風邪

ヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアに感染して、ヒトの風邪のような症状が出る病気です。発熱、くしゃみ、鼻水、結膜炎、口内炎などの症状が特徴で、ワクチンをすることで予防や、かかっても軽症にすることができます。

治療は抗生物質や抗ウイルス薬などを使用しておこないますが、ヘルペスウイルスは体内に残ります。免疫が低下すると再発してしまいますので、注意が必要です。

猫伝染性腹膜炎(FIP)

コロナウイルスが原因の伝染病です。発熱、食欲低下、胸水、腹水などの症状が出ます。胸水が溜まった場合には呼吸困難になることもあります。 今のところ治療法がないため、根治が難しく対症療法を行います。ワクチンもありません。

猫汎白血球減少症

パルボウイルスが原因で、40度以上に発熱します。他の症状は下痢や嘔吐などです。特効薬がないため、対症療法がメインで、抗生物質の使用や水分補給が行われます。ワクチンがあり、予防することが可能です。

熱中症

猫は人間の用に汗をかくことができず体温調整が難しいため、体の中の熱を逃がすことができずに体温が高くなるので、注意が必要です。特に夏、室内に猫だけにするときは熱中症にならないような工夫が必要です。熱中症が疑われたら、意識があれば水を飲ませ、氷は使わずに水をかけて体を冷やしてあげます。その後すぐに動物病院に連れて行きます。

ワクチン

ワクチンの副反応で発熱が起こることがあります。ワクチン接種後から数日間熱が出ることがあるのです。高熱でぐったりすることがなければ様子見となることが多いのですが、猫の体質によっては注意が必要です。

ワクチン接種後様子がおかしければ、必ず動物病院に連絡しましょう。 アレルギー症状が強く出て、アナフィラキシーショックを起こしてしまうこともあります。動物病院によっては、ワクチン接種後は30分から1時間は病院内や病院の近くにいるように説明されることがあるようです。

また、ワクチン接種の前には必ず検温を行います。動物病院に行くことで興奮して体温が高くなってしまうことがあるので、しばらくしてもう一度検温し平熱になったことを確認してからワクチン接種が行われます。

まとめ

病院でチェックを受ける猫

猫の平熱は人より高く、抱っこすると暖かいですよね。その温かさを体温計を使って数値にすることで、健康のバロメーターにすることができます。猫の体温を測るのは慣れるまでは少し難しいかもしれませんが、動物用体温計や使い捨てカバー、耳体温計など便利な物もあります。

発熱と関係のある病気もあるので、平熱を知り検温する習慣を付けることで、ちょっとした体調の変化に気付いてあげられるのではないでしょうか。

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