猫に強制給餌をする正しい2つの方法

猫に強制給餌をする正しい2つの方法

強制給餌とは、猫などの動物に指やシリンジなどを使い強制的に餌を食べさせる方法のことです。術後や病中の猫は、食欲の低下や、餌を飲み込めないといった状況に陥ることがあり、時には強制給餌を必要とする場合があります。この記事では、自発的に餌を食べられなくなった猫に行う強制給餌について解説したいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫に強制給餌をする方法(下準備)

シリンジを口に入れられる猫

猫の強制給餌で必要なもの

  • ドライフード(ウエットフード)
  • お湯
  • 栄養価の高い缶詰(総合栄養食)
  • シリンジ
  • すり鉢またはミキサー
  • おしぼり、タオル

猫に強制給餌で与えるフードをふやかす

いつも与えているドライフード、又はウェットフードを適量のお湯でふやかす。ウェットフードは元々ペースト状ならそのまま使用してください。極端に食欲が落ちている場合は、栄養価が高い猫のウエットフード(a/d缶など)をお使いください。

ふやかしたフードをペースト状にする

すり鉢、すりこぎにてしっかりペースト状にし、冷ます。冷えすぎても食べないことがほとんどなので、理想は人肌です。もしお薬がある場合はこのとき一緒にすりこぎ、すり鉢にいれると楽に飲ませてあげられます。(ミキサーがあればふやかしたフード、総合栄養食と少量のお湯を入れて作る事も出来ます)

強制給餌をする前に猫の爪を切っておく

ちなみに爪は必ず切っておいてください。私は一度、強制給餌をしているときに伸びた爪で深く引っ掛かれ大変なことになりました。大人しい猫ちゃんなら、わざわざ保定すると逆に怯えてしまうこともありますので自分の愛猫の性格と様子を見て臨機応変に対応してください。

猫が暴れないように固定する

必要であれば、猫が暴れないように保定します。やり方は様々ですが、タオルでグルグル巻きにし足で猫を挟む方法が恐らく一般的でやり易いと思います。

※強制給餌をする時は必ず猫がうつ伏せになるような体制で行うようにしましょう。仰向けの体制で給餌を行うと誤嚥をする可能性が高いです。

猫に強制給餌をする2つの方法

口をあけられる猫

これで、強制給餌の下準備は完了です。強制給餌のやり方には大まかに分けて二つあります。「指で与える」方法か「シリンジで与える」方法です。それぞれを詳しく解説していきます。

指で与える方法

飲み込む力のある若い猫ちゃんならこの方法でも可能です。シリンジを用意しなくても大丈夫ですし、思い立ったら即できます。ただ指を口の中に入れるので噛まれて怪我をしないように注意してください。

  1. ペースト状にしたフードを指にとる
  2. 猫の口をあける
  3. 上顎にペーストを塗る
  4. .噛まれないように気をつける

ペースト状にしたフードを指にとる。猫の口に合わせた量、少なめから始めた方がいいです。

猫ちゃんの口を空いてる方の手を使い開けます。やり方は猫の口の端に二本の指を入れるとすんなり開けてくれます。

開いた瞬間、口の中の上顎にペースト状のフードを塗り、手を離します。こうすると嫌でも口を閉じたときに食べることになります。これを何回か繰り返してフードを与えます。

何度も言いますが、猫ちゃんに手を噛まれないように気を付けてください。コツは手早くです。また、奥まで指をいれなくても手前の方に塗るだけで大丈夫です。

前歯の少し奥くらいに塗るくらいで大丈夫です。奥まで指を入れると猫もえずきフードが進みませんので気を付けてください。続いてシリンジの強制給餌のやり方です。

シリンジで与える方法

  1. シリンジにペーストを入れる
  2. ペースト入りのシリンジを数本用意する
  3. 猫の口の脇からシリンジの先端を入れる
  4. 少量をゆっくり入れる
  5. 猫の口からこぼれたペーストをおしぼりなどで拭く

フードを飲み込む力が衰えたり、指で与えても吐き出したりする場合はシリンジで与えることになります。慣れれば一番手っ取り早く一番確実な方法になりますので、覚えておいて損はありません。

用意したシリンジにペースト状にしたフードを入れる。数本シリンジを用意して、一気に入れてしまうのが効率が良く、食べた量も把握できるので便利です。

猫の口の端にシリンジを軽く差し込み口の中の上顎にシリンジの口を向ける。最初はゆっくり、ゆっくり、シリンジを押しフードを与える。

舌でペチャペチャと舐められるくらいのスピードが与える理想のペースです。最も、シリンジで与えられること事態を嫌がる子が多いので、ゆっくりと無理のないスピードで与えてあげてください。

シリンジで与える場合、お口から餌がダラダラと漏れる場合も多いですからお口を拭ける少し温かいタオル(おしぼり)も用意しておくといいです。シリンジでの強制給餌は初めは嫌がる子がほとんどですから、ふだんから定期的に馴れさせることも一つの手です。

猫の強制給餌とは

スプーンで餌をもらう猫

強制給餌とは、自発的にご飯を食べることができなくなった猫などの動物に指やシリンジなどを使い強制的にご飯を食べさせる方法のことです。

  • 「無理矢理にフードをあげるなんて可哀相」
  • 「苦しそうに暴れながら嫌がる愛猫を見ていられない」
  • 「無理矢理あげる必要はあるの?」

そんな声が聞こえてきそうですが、この意見については正直時と場合、また飼い主様本人の考え方によります。

猫に矯正給餌を行う目的

  • 自発的に食事ができない猫にご飯を食べてもらう
  • 栄養価の高いものを食べさせ、免疫ををつけ体力を回復してもらう
  • 最終的に自発的に食べられるようにする

強制給餌は、猫ちゃんに少しでも長生きしてもらうため、少しでも早く元気になってもらうために、手軽に行える給餌方法なのです。

もちろん可能な限り、環境や、餌の種類、匂いや温度などに配慮し、強制給餌を行わず自発的にフードを食べられるよう努力はするべきだと思います。

愛猫が自発的に食べ始めるまでの短期間に行うには適した方法と言えるでしょう。

人間でも病気のときは栄養のあるもの、カロリーのあるものを食べるようにお医者さんに言われますよね。食べることが難しい方や、苦しくて食べられない方は、流動食や高カロリーの栄養価が高いゼリーなどを出されたりします。

栄養価の高いものを取り、体力をつけることで免疫力も上がり身体も元気になるのです。それは猫ちゃんも同じで、やはり老猫や病気の猫ちゃんもフードを身体に取り入れることで回復に向かう場合が多いです。

しかし、長期にわたる強制給餌は、猫や飼い主にとって大きなストレスとなり、必ずしも良い結果が得られるとは限りません。
しかし、特に猫の場合は3日食べなければ「肝リピドーシス」という病気になります。食べないことでこのような病気になってしまい、命にかかわることもあります。この病気になってしまうと治療方法の一環として「強制給仕」を行います。

嫌がるなどのデメリットも確かにありますが、実は食べないデメリットのほうが大きいことも知ってください。

強制給餌のメリット・デメリットをよく理解した上で適切に行う必要があります。

猫に強制給餌をしないという考え方

手から餌をもらう猫

どんな猫でも強制給餌をすれば必ず元気になるという訳ではもちろんありません。命とは永遠に続くものではないので、どれだけ手を尽くしても、どうしようもないときがあります。

「たった数日間、数時間長生きしてもらうために、こんなに嫌がり苦しそうにしている愛猫に強制給餌をして果たして意味はあるのか?」
「最後は楽に死なせてあげた方がいいのではないか?」

そんな考えが浮かぶ方もいらっしゃると思います。強制給餌をすることで病気が治る、大幅な延命が可能な場合なら必死に頑張るでしょうがそうでない場合、どちらを選ぶのが正しいのか?

その問題に明確な正解はありませんし、間違いもないです。ただ愛猫のことを思い必死に考えた結果の選択ならそれが愛猫にとっても飼い主にとっても正解だと思います。

どちらを選んでも正解なのです。長く暗い話になりましたが、いつか訪れるかもしれない強制給餌をするときのために、せめてやり方と知識だけは持っておきましょう。

まとめ

猫とシリンジ

いかがでしたか?最初はコツがいりますが慣れると案外簡単です。私は子猫を拾ったときミルクをシリンジであげたり、離乳食もシリンジであげたりしていました。

シリンジであげる方法は他にもお薬をあげるときに、ウェットに混ぜてあげたり、水に溶かしてシリンジであげたりすることが、できますので知っていて損はない方法です。

シリンジはペットショップやホームセンターにも売っていますので、一本常備しておくといいですよ。

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40代 女性 かな

強制的に食事をさせるのは、難しさもありますが、慣れれば手早く終わらすことができます。
ペースト状のえさを、注射器にいれて猫ちゃんの口の横から舌をペロペロするスピードに合わせてあげながら、注射器を押して餌を与えます。
食事が終わったあとは、忘れずに口のまわりをを拭いてあげて、皮膚病にならないようにしましょう。
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40代 女性 匿名

うちのネコちゃんは腎不全になり 強制給餌をしました。 とても嫌がっていて
暴れるので 体力の消耗も気になり、 ご飯の用意をしている私を見て、 嫌そうな顔をしていて ネコを苛めているみたいで、私を嫌いになるんじゃないかな?…と、複雑な気持ちになり、 亡くなった今でも 本当にこれが正しい判断だったのか?数年経った今でも分かりませんでした。
筆者が どちらも正解 と書いてくれたのを拝見して、救われたような気がして、涙が出ました。 ありがとうございました。
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50代以上 女性 匿名

12歳の猫ですが、6月末から食欲がなくなり1ヶ月ほど動物病院に通っていましたが、血液検査しても原因がわからず、毎日点滴と食欲の出る注射を打ちに通っていましたが、どんどん痩せてきて、遠い病院通いとお金の問題で、私も疲れてきまして病院通いはやめました。悪性リンパ腫の可能性もあると言われましたが、これもこの子の寿命だろうと家でいろんな知識を得て、強制給餌をしています。私のこと嫌いになってんだろうなと思いながら与えています。猫にとってこんな無理やり口に入れてもらうくらいなら、このままほっといてもらいたいと思っていると思います。少しでも長く生きてもらいたいと私の勝手な考えでいいのか、自然のままでいいのか与える度に辛い思いをしています。
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50代以上 男性 匿名

推定5歳の猫が慢性腎不全になり、今まさに強制給餌をするか迷っているところです。過去に3匹の猫を亡くしてますが、内二匹はは強制給餌をし、その度に嫌な気持ちになった事もあり、また、結局強制給餌をして間もなく亡くなっているので、迷っています。強制給餌によるストレスで死期を早めてしまったのではないか?

また、獣医からも通院する度に「そんなに大事?治療にお金凄い掛かるよ。完治する分けてもないし」と言われます。確かに拾い猫だし三年しか暮らしていないし、もう一匹いるので、先生かそう言うのも分るのですが、私としては私が出来る事はしてあげたいと思ってます。
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50代以上 女性 むうあみ

現在13歳の男の子のにゃんこが扁平上皮癌(大学病院で検査はしていませんが、かかりつけの獣医さんでは多分そうで、舌の真下の癌で検査と手術は難しいので、ストレスを与えず、家でゆっくり過ごすほうが、ということで私も同じ考えです。
舌が言うことをきかなくなり、固形物が食べられなくてミキサー食もだめで、市販のペースト食を何種類かを10㎜のシリンジで1日朝・昼・夕・寝る前の11時ごろの4回与えています。そのペーストに皆さんが喜ぶ、というちゅーるを少し混ぜて温かいお湯でのばして(水が飲めないので)います。2か月くらいになりますが、尿は毎日塊が1-2個、便は毎日の時も、3日に1度の時もあります。
ただ、本人(猫)がシリンジが嫌でなく、用意をしていると定位置に来て待っています。最初は喜んで、がっついて飲み込みますが、段々ペースは落ちます。
今のところ、ほぼ完食ですが、いつまででしょう!よだれ(出血のよだれも)がすごいです。口の周りや前足がマラセチア菌で黒くなるので、薬もつけて時々洗っています。
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50代以上 男性 きむきむ

22歳7か月の雄猫です。
甲状腺機能亢進症らしいですが、食欲があったり無くなったり。
もともと8.5kgまであった体重が、現在2.35kgまで減りました。
腎臓の数値も一時悪かったので、18歳ころから腎サポ食を行ってきました。
22歳を過ぎてから、かなり衰えが出てきて筋肉もなくなり、現在では毎日の
ように点滴とステロイド、ビタミン剤を投与してもらい、食欲増進材も飲ませております。
食欲増進材はかなり効果が出まして、ガツガツ食べるようになったと思うと、また、食べ無くなったり(効果は3日位?持続)と奮闘中です。食欲がなくなった時のきっかけになればいいです。
いつかは食欲増進材の効果もうすれるのかと思うと、強制給餌も練習して行きたいと思います。皆さんの奮闘ぶりも参考になりました。
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50代以上 女性 匿名

16歳のにゃんこ。10日前の深夜、台所のカウンターから別のにゃんこと追いかけごっこで落下したと思われます。起立困難な状態が続いていてとても心配です。最初は立ち上がろうとしていたし、餌も手であげるとムシャムシャ食べていたのですが、日に日に弱っていく様子。入院した病院先で風邪をひいて餌もついに拒否するようになってしまい、今日から再入院中です。CPKが2年前から高値なのに何も指摘がなくて、変だと思い調べているときに「強制給餌」という言葉を知りこのサイトにたどり着きました。やり方、タオルでぐるぐる巻きにするのですね。退院したら絶対にトライします。
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50代以上 女性 ミユキ

15才の雄です。左下奥歯辺りに扁平上皮がんができていると言われてから、1ヶ月半。1キロ痩せて殆ど自分では食べられないので、主人と二人がかりで、1日4回強制給餌です。介護食とベビーミルクで1日200キロカロリーほどになります。2日おきに抗がん剤を飲んでいるので体重は落とせません。嫌がるのを無理やり食べさせている辛さがありますが、やはり食べてると割りと元気です。このさき色んな症状がでるようですが、もう少し頑張ってもらいたいです。













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女性 みーたん

今、リンパ腫発症から8か月の14歳の雌猫と8歳の雄猫(結石で二回の手術、原因不明の病(特に鼻と気管支の為ネブライザー朝昼晩と寝る前にもう一度)に流動食を与えています。14歳の雌猫には20mlを朝晩。8歳の雄猫、朝20ml一本、昼10ml一本、夜20ml一本。2匹交互なおかつネブライザーも4回加わるので時間に追われる日々ですが嫌がりながらも食べてくれています。やはり口から物を食べるというのは人間も同じでペットにも重要な事だと私は思います。人も動物も点滴だけでは生きていけないです。可哀そうって思うけど、これで少しでも体力がついて栄養も入るならと思うとやるしかないと思うのです。どんなに時間に追われてやることだらけでも私はサボったことはありません。皆さんの気持ち凄く分かるし、大変なのはみな同じ・・・辛いけど愛猫ちゃんの為に最後までやれることをやった方が後悔も少ないと思うんです。口からの栄養は大事です。病院の費用とか私も凄い事になってるけど(毎月7万円くらい…)リンパ腫の子が毎週通院なので。。。病院とかでお金をかけられない方はそれはそういう選択でも良いと思います。その代わりにお家で出来る事はした方がい良いと思います☆特にご飯ですね。https://www.homeo-re.com/SHOP/1113820/1104705/list.htmlこちら良さそうなので本日注文したばかり。ペット用06番を注文してみました。色々調べてみると良いと思います☆ご参考になれば幸いです。
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40代 女性 匿名

猫が全くご飯を自ら食べなくなり、病院に連れて行ったら肝臓の数値が高く、現在 強制給餌をしています。点滴にも毎日通院しています
強制給餌と薬を与えてつらそうな姿見ると涙出ます
同じ気持ちの方々がいて少し楽になりました
投稿者

50代以上 女性 まめ

我が家の猫は6歳の時に急性の腎不全で尿素窒素140以上クレアチニンも12以上にまで上がり、治療しても1年は生きられないと言われました。なんとか生かしてやりたいと治療を続けなんとか10歳をむかえることができました。現在は毎日自宅で皮下点滴、食事を取らなくとなると通院で静脈点滴に切り替え頑張っています。最近は通院が増え、食事も強制的にシリンジで補助しています。幸い点滴もさせてくれるおとなしい子なのでここまで頑張れました。同じ病気の猫ちゃん、治療を受け入れてくれる場合は諦めないでくださいね。どこまで頑張れるかわかりませんが少しでも本人が楽になるようにできるだけのことをしてあげたいと思っています。
投稿者

30代 女性 匿名

腎不全と口内の腫瘍で、食べたい気持ちはあるのに口が痛くて食べられない10歳の猫の強制給餌を始めようと思っています。記事と皆さんのコメントを見て、改めていろいろと考えさせられました。言葉が通じればもう少し猫の思った通りのことをしてあげられるのになと毎日悔しい思いをしていますが、同じ状況の方々がいることを忘れずにいようと思います。
投稿者

50代以上 女性 匿名

オス猫12歳6ヶ月は去年の9月から腎臓病で通院しています。当初、主治医から「かなり悪い」とわれてましたが、良くなったり、悪くなったりでした。今は最悪の状態と言われ、自力で食事をしなくなりました。点滴、ステロイド注射、ビタミン剤、ガスター注射は病院で。そして強制給餌は家で。昨日看護師さんからやり方を教わったのに、躊躇してしまい昨日は2回で諦めました。今日、このサイトから強制給餌のやり方等、多くの知識を得ました。そして病院の方に「病院では栄養が少ないので、家でも頑張てあげてください」本当にその通り。ニャンコにとって最後の頼りは私ですからね。皆様の投稿に感謝します

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