猫に不凍液(エチレングリコール)を与えてはいけない理由

猫に不凍液(エチレングリコール)を与えてはいけない理由

不凍液(エチレングリコール)は、猫の駆除に利用される事があるのをご存知でしょうか。愛猫家にとっては、駆除、殺害等と聞きたくもない様な言葉ですが、実際に猫が不凍液で命を落とすケースが報告されています。愛猫を守るために知っておいて欲しい、猫と不凍液の関係性についてまとめました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫にとって「不凍液(エチレングリコール)」は猛毒

車のメーター

猫にとって猛毒となる「不凍液(エチレングリコール)」とは、車のエンジン冷却水の凍結を防ぐ為に使用されているエチレングリコールと呼ばれる液体です。
猫に限らず、動物にとっては命に危険を及ぼす強い毒性があります。

摂取後、以下のような症状が出るとされています。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 呼吸障害
  • 衰弱
  • ふらつき、痙攣
  • 昏睡、失神
  • 酔っぱらったような症状

致死量は、約4.5キロの猫に対して小さじ一杯とされており、急性腎不全を引き起こす等、命に関わります。摂取後数時間以内の治療が重要となり、一度細胞が壊れた腎臓は回復しません。

猫が不凍液(エチレングリコール)を摂取する理由

車の上で眠る猫の写真

上記で不凍液は、猫にとってとても危険な物質だという事をご説明しましたが、どのような場所、状況で猫が不凍液を摂取してしまうのでしょうか。不凍液は甘い匂い、味がするため猫が興味を持ちやすいと言われています。その為、主に以下のようなケースが多く見受けられます。

駐車場やカー用品店での事故

野良猫や、家を自由に出入りしている放し飼いの猫が、駐車場等で車から漏れた不凍液を舐めてしまったという事故が多発しています。一度、腎不全を引き起こしてしまうと完全に元通りにするのは難しく、摂取量が多い場合や、治療が遅れた場合は取返しのつかない事になります。

殺処分を目的としたケース

意図的に、野良猫や外飼い猫等に不凍液を舐めさせるといった行為が報告されています。私自身、野良猫駆除等という名目で不凍液が紹介されているサイトを見た事があります。猫が嫌い、糞尿被害に悩んでいる、鳴き声がうるさい等、理由は様々ですが、エサに不凍液を混ぜ、野良猫に与えるという行為を堂々とネット上で紹介している人も居ました。実際に6匹の猫が不凍液で殺害されたとして、動物愛護法違反容疑で捜査中と報道された事もあります。飼い猫を外に出すという事はこのような危険もあるという事です。

愛猫を不凍液(エチレングリコール)から守る方法

窓から外を見つめる猫の写真

上記でお話した様な、猫の命を奪う恐ろしい事件は増えていく一方です。ただ、実際に猫の糞尿や鳴き声に悩む人が多いのも事実です。飼い主として、愛猫を守る為、他人に迷惑を掛けない為に、完全室内飼いを徹底する必要があります。

他人から見れば、野良猫も放し飼いにされている猫も同じだという事、外へ出すという事は、交通事故や猫同士の喧嘩だけではなく、意図的に行われる駆除という行為もあるのだと認識する必要があります。

まとめ

女性と寛ぐ猫の写真

このような事故、事件が実際に起こっている事を知ると、完全室内飼いの大切さを再認識させられますよね。飼い主にとっては我が子のように可愛い愛猫も、他人にとっては害になりかねないという事です。

インターネット上で様々な情報が行き交う現代は、いい事もあり、悪い事、危険な事もたくさんあります。猫の駆除と検索しただけで、たくさんの方法が出てきてしまうのです。少しでも多くの猫ちゃんに人が危険を取り除いてあげられる家の中で、安心して長生きして欲しいと思います。

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