猫の爪切り方法の注意点と暴れる時の対処法

猫の爪切り方法の注意点と暴れる時の対処法

猫と言えば、「尖った爪」。というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?確かに猫の爪はどこかに登る時にひっかけたり、喧嘩をした時の武器になったりしますので、とても重要です。ですが、室内飼いの場合は、その爪が逆にケガの元になる事もありますので爪切りが必須。猫の爪切りどうするのが1番良いのでしょうか?

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記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

猫の爪切りの方法

爪切り中の猫

猫の爪切りは、どのように行えば良いのでしょう?詳しくお伝えします!

猫の爪切りに必要な道具たち

爪切りを行う際に必要な道具は、以下の通りです。

  • 猫用爪切り
  • 止血剤(心配ならば)
  • ガムテープなど(後片付け用)
  • おやつ(必要なら)

必須なのは爪切りだけです。後は必要に応じて揃えましょう。猫用爪切りには、ハサミタイプとギロチンタイプがありますが、一般的には子猫の小さな爪にはハサミタイプ、成猫にはギロチンタイプが向いている、と言われています。ですが、必ずそうしなければいけない、という事ではありません。愛猫の安全の為にも、飼い主さんが使いやすいタイプを使用するのが1番です。

猫の爪切りの手順

爪切りの手順は、以下になります。

猫を後ろから抱っこして、猫の背中と飼い主のお腹がくっつく形で固定

猫を後ろから抱っこして、猫の背中と飼い主のお腹がくっつく形で固定します。猫の前面から爪を切ろうとすると怖がる子もいますので、後ろから行った方が恐怖心を与えずに済むでしょう。「爪切りするよ~」などと優しく声かけを行うと、猫が落ち着く事もあります。

猫の爪の根元を優しく押して、押し出した爪の尖っている透明の部分だけを爪切りでカットします

猫の爪の根元を優しく押して、押し出した爪の尖っている透明の部分だけを爪切りでカットします。深くても、ピンク色部分から2mmは離しましょう。怖い場合には、先端だけでも大丈夫です。無理はせず、尖っている部分だけを取り除きましょう。

カットするのは前足からでも、後ろ足からでも構いません。やり易い方から始めましょう。また、猫が途中で嫌がって体をよじるなどした場合は、すぐに解放してあげましょう。一度に全部の爪を切らなくても大丈夫です。

1回数本ずつ、数回に分けて行うと、猫のストレスを軽減できます。もちろん、嫌がらずにやらせてくれる子の場合には、1回で全てカットしてもOKです!

万が一切り過ぎて出血してしまった場合には、すぐに止血剤を使って止血してあげましょう。慣れないうちは「先端だけカット」を心がけていれば、出血する事はありません。猫が暴れて誤って切ってしまった、という場合もなきにしもあらずですが・・・。愛猫がストレスを感じないよう、なるべく素早く終わらせてあげるのがポイントです☆

カットが終わったら、「上手に出来たね!」と愛猫を褒めて解放してあげます。必須ではありませんが、ご褒美のおやつを与えても良いでしょう。「爪切りをすると、良い事がある!」と思ってくれるかもしれません。

ただ、おやつは肥満の原因にもなりますので、与えるかどうかは飼い主さんのご判断にお任せします。切った爪が飛び散っているので、ガムテープなどで掃除します。

猫の爪切りが習慣になったら

爪切りが習慣付いてくると段々、伸びて尖った所だけをカットすれば良くなってきますので楽になります。と言ってもこれは我が家でのやり方ですので、ご参考までに。

猫への負担を考えると、爪切りの時間はなるべく少ない方が良いですので、我が家では「尖ってきたな・・・」と思ったら、その尖った爪だけをカットするようにしています。

後ろ足より前足の方が良く伸びますし、爪研ぎを頻繁にする子の方が早く伸びます。抱っこをしたり、脚にカキカキしてきたりすると、爪が尖っていて痛い時があります。

痛いと思ったら爪をチェックして、尖っている部分をカットするようにしています。後ろ足は前足に比べて伸びるのが遅いので、そこまで頻繁にやる事はありません。

猫の爪切りの時には「前足の親指」を忘れずに!

前足には5本の爪が生えているのですが、親指だけ少し離れた場所にあります。前足の内側、1番大きな肉球の下辺りにありますので、忘れずにカットします。

少し奥まっているのでカットしずらいのですが、ここが伸びてしまうと肉球にささってしまう事もあります。爪切りの角度をうまく合わせて、しっかり切ってあげましょう。

猫が爪切りを嫌がって暴れる時の対処法

洗濯ネットに入れる

洗濯ネットに入れる

爪切りしようとすると狂ったように嫌がって、とてもじゃないけど出来ない・・・という場合には、「洗濯ネット」を試してみてください。目が粗めで、爪が間から出せるネットがオススメです。

サイズは愛猫よりも少し大きい位で。あまり大きいと中で動いてしまうので意味がありません。首尾よく愛猫を洗濯ネットに入れたら、そのまま爪切りを行ないます。猫は狭い所に入ると落ち着く習性があるので、うまくいけばこの方法で出来るかもしれません。

頭にタオルやマスクなどをかぶせる

猫によって異なりますが、頭にタオルをかぶせたり、帽子をかぶせたりすることで大人しくなる場合があります。また、猫の顔にマスクを被せることでタオルと同じ効果があります。

首根っこをつかむ

これは動物病院などでも行われる方法です。子猫の場合は首根っこを優しくつかむだけで、大人しく爪切りさせてくれる場合が多いです。多少慣れが必要になります。

トリミングサロンや動物病院で爪切りをしてもらう

いろんな対策がうまくいかず、どうしてもご自宅での爪切りが難しい場合には、トリミングサロンに行くか、動物病院でカットして貰いましょう。トリミングサロンに行く場合は、出来れば猫専用の方が良いでしょう。犬メインの所だとサロン内に犬がいて愛猫が怯えてしまいますし、猫に対しての充分な知識がない事もあります。

トリミングサロンでの事故も少なくありません。脅す訳ではありませんが、出来れば猫専用トリミングサロンに出向いた方が安心して施術を受けさせられるでしょう。

動物病院でカットしてもらう場合は、500円~1000円ほどですべての爪を切ってもらうことができます。診察とセットで行ってくれる病院も多いですし、何か事情があれば爪切りだけでも対応してくれる病院もありますので、相談してみましょう。

爪の切りすぎに注意!猫が爪切りを嫌がる原因

寝そべる猫

猫の爪は、2層構造になっています。内側がピンク色に見える血管や神経の通っている部分です。外側は透明の爪になっています。爪切りを行う場合は、外側の透明部分のみをカットします。

間違えてピンク色の部分を切ってしまうと、出血して痛みもありますので、猫が爪切りを嫌いになってしまいますので注意しましょう。

そして猫の爪は、猫が自由に出したり引っ込めたりする事が出来ます。これは爪に「靭帯」と「腱」がくっついていて、腱が緩んでいる時は靭帯の張力で爪が引っ込み、腱が引っ張られると爪が出る、という構造になっています。

爪切りを行う際は猫に爪を出して、と言っても、そう都合良く出してはくれませんので、飼い主が優しく爪の根元部分を押す事で、ニョキッと爪を出す事が出来ます。

猫の爪は層になっており、爪研ぎをする事で外側の古い層が取れて下にある尖っている新しい層が出ます。ちょうどタマネギを向いたような感じです。ブーメランのような形をした古い爪が落ちているのを、見かける事もあると思います。

ご経験あると思いますが、尖った爪は本当に先端が鋭利で、引っ掻かれたり飛びつかれたりした時にはもう、悲鳴を上げてしまう程の痛みです。子猫の時は猫自身が出し入れできない時期もありますので、刺さらないように注意が必要です。

猫の爪切りの必要性

爪切りと猫

結論から言うと、外に出る猫は爪切りの必要なし、完全室内飼いの猫は爪切りの必要ありです。外に出る子の場合は爪がない事で身を守れなくなる事がありますので、必要なし、と言うよりかは爪切りしない方が良い、と言った方が良いかもしれません。

それにひきかえ完全室内飼いの子は、カーテンやカーペットに爪をひっかけてケガをしたり、飼い主のケガに繋がったりする可能性がありますので、爪切りは行った方が良いでしょう。子猫は爪が出し入れ出来ないので、爪を切ってあげた方が様々な面で安心です。

たまに「自分で爪研ぎしているから、必要ないんじゃない?」という方もいるのですが、爪研ぎはあくまでも古くなった爪を取り除いているだけです。古い爪が取り除かれた後は、新しい針のように尖った爪が表に出てきますので、その尖った部分をカットしてあげる事が必要です。

猫の爪の役割

猫の爪の役割は前足と後ろ足で違います。前足は狩りをする時に、獲物をがっちりと捉えて離さない役割を果たしています。後ろ足はジャンプをする時や走る時など、踏ん張りをきかせて勢いが出るようにサポートしています。爪の数も前足が5本ずつ、後ろ足が4本ずつと異なっています。

猫の爪切りの種類

猫の爪

猫の爪切りを行う際は、必ず猫用の爪切りを使用しましょう。猫の爪はカーブがかかっているので人間用の爪切りでは割れてしまう可能性があります。また、猫用爪切りにも種類があります。

はさみタイプ

紙切りはさみを小さくした形状のものです。比較的、慣れていない人でも使いやすいのですが、デメリットがあるとすれば、はさみを爪に当てる方向が悪かった場合、爪が割れてしまう可能性があります。

ギロチンタイプ

動物病院などで使用されているタイプで、切れ味がよく成猫の爪でも簡単に切ることができます。ただし、切れ味がいいことから、慣れていないという場合も多く、深爪には要注意です。ギロチンタイプと似た、ニッパータイプと呼ばれる形状のものもあります。

電動やすりタイプ

爪切りのあとに電動やすりを使用し、爪の先が滑らかにすることで爪が割れること防ぎます。ただし、電動ということだけあってどうしても音が出ますので、怖がらせないよう様子をみながら使用してください。

老猫の爪切りについて

老猫になると段々と動きも遅くなり、1日中寝ている事がほとんど・・・なんて事もあります。もちろん、元気な子は元気なのですが、ゆったりのんびり、となる子も少なくありません。すると、若い時には頻繁に行っていた毛繕いや爪とぎでさえ、あまりしなくなってきます。

爪とぎをしないと爪が伸び放題になり、肉球に刺さって痛みを感じる・・・という可能性もあります。老猫の場合は特に、爪が伸びていないか注意して見てあげましょう。もちろん伸びていたら切って、爪を短く、安全に保つようにします。

まとめ

いかがでしょうか?猫の爪は犬と違い、透明で透き通っていますのでやりやすいと思います。我が家の子達は、たまに文句を言っていますが、それでも何とか切らせてくれる事がほとんどです。切った後に近付くと、また何かされるんじゃないかと、しばらく警戒されますが・・・(笑)そんな愛猫とのやりとりも、楽しい猫くらしの一部ですね♡

監修獣医師による補足

猫ちゃんとの暮らしの中で爪切りでの格闘は必ず通る道です。

動物病院ではよく、お家では怒って切らせてくれないといった猫ちゃんが来ることが多いです。いざ、爪を切ると興奮とストレスから排尿してしまう猫ちゃんも少なくありません。

こうなってしまうとなかなか穏便に爪を切ることが難しくなってくるので、できればお家で小さい頃から習慣づけておくことがベストです。

また、お家で爪を切る際は前足の方が嫌がる猫ちゃんが多いので、後ろ足からなるべく短時間で済ませるのがコツかなと思います。

獣医師:長谷川 諒

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