猫の発情期においてオスとメスがそれぞれ抱える問題点

猫の発情期においてオスとメスがそれぞれ抱える問題点

猫は体が成熟してくると、発情期を迎えます。次の世代を産み、育てる準備ができるのですね。子猫が産まれることは喜ばしいことですが、同時に人にとっても猫にとっても、困った現象を引き起こすこともあります。猫の発情期を詳しく知ることで、私たち人間が愛猫に対してどう対処していけば良いのか、考えていきましょう!

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

オス猫の発情期

カーテンと猫

猫の発情期にオス猫とメス猫の違いはあるのでしょうか。

オス猫に発情期はない

オス猫は生後8ヶ月~1年で成猫になりますが、オスの場合は実は「発情期」というものはありません。というのも、オスは発情しているメス猫がいればいつでも交尾が可能なので、オスに「発情期」と言う言葉は当てはまらないのです。

なお、オスが交尾可能となるのは生後半年から7か月頃だと言われています。この頃になるとペニスにとげが生え始め、性的に成熟したと言えます。このとげは交尾した際にメスの膣(ちつ)を刺激し、排卵を促すために生えています。ちなみに去勢手術をするととげはなくなります。

オス猫の発情期にある問題点

桜と2匹の猫
  • スプレー行動
  • 脱走

縄張りを主張するため、匂いの強い尿を家の柱や家具そしてカーテン等、様々な場所にかけることがあります。この匂いや処理に飼い主が困ることが多いです。

普段は大人しい猫でもメスを求めて網戸などを開け、若しくは突き破って脱走する事がありますし、玄関のドアが開いた隙に勢い良く走り出る事もあります。それだけ、メスが発情期を迎えた時の性衝動は強いのです。外に出て事故に遭う可能性も否めません。

メス猫の発情期

鳴いている茶色い猫
  • 雌猫は7ヶ月~1年で成猫になる
  • 発情期間は5日から10日
  • 2回目以降は10日から14日
  • 生理がないので妊娠が分かりずらい

メスは7ヶ月~1年で成猫になり発情期を迎えます。メスもやはり生後半年頃になると体が成熟し、妊娠が可能となります。初めての発情期間は5日から10日ですが、2回目以降は10日から14日程度になります。猫の場合は生理がありませんので、明確に発情していると判断しにくいことがあります。

雌猫の発情のサイン

  • 床に這ってお尻をあげる
  • 頻繁にスリスリする
  • ごろごろと転がる
  • 高い鳴き声

それでも発情期特有の行動が出ますので、よく観察することで判断は可能です。発情期特有の行動ですが、床に這ってお尻をあげる「ロードシス」や普段よりも頻繁に行う、こすり付け、ごろごろと転がり回るローリング、高い鳴き声などがあります。これらの行動が見られたら発情しているとみなすことができます。

メス猫の発情期にある問題点

玄関の前に居る4匹の猫
  • 鳴き声
  • スプレー行動

発情期を迎えたメス猫は普段とは違う大きな声で鳴きます。そしてその頻度も多く、昼でも夜でもお構いなしです。この鳴き声に参ってしまう飼い主さんも多く、近所迷惑となる可能性も。

野良猫が赤ちゃんのような大きな鳴き声を上げているのを、聞いたことはありますか?あれが発情期のメス猫の鳴き声なのです。あの大きな声で夜中に鳴かれてしまうと飼い主も参ってしまいますね。

縄張りの主張はオスだけと思いきや、実はメスも行うことがあります。オス猫を引きつけるために行います。

発情期のオス・メス共通の問題

子猫

猫が発情期を迎えることで更に問題となるのが、行き場のない不幸な子猫が増えてしまうことです。猫の殺処分は毎年数万匹に及んでいます。そのうちの大半が子猫なのです。

もちろん新しい命が産まれることは喜ばしいことです。ですが、今の日本の現状では飼い主のいない猫たちは殺されてしまうので、これ以上不幸な猫を増やさないよう人が猫のためにできる事をしなくてはなりません。

猫が発情期になった時の対策

ゆかに転がる猫

猫の発情期の困った行動に対する対策方法で1番有効なのは、オス・メス共に不妊手術を行うことです。手術をする事で、上に挙げた問題となる行動を減らすことができますし、何よりも不幸な猫を増やさないことにつながります。発情期を迎えることでの猫のストレスを軽減することもできます。

他には、オス猫に発情を迎えたメス猫を近づけないようにする、という方法もありますが、完全室内飼いでも家の近くに発情した野良のメス猫がいれば反応してしまいます。ですから完全な方法とは言えません。

メス猫に対しては膣を綿棒などで刺激し、排卵を促すことで発情期を終わらせるという手段があります。ですが慣れていない人が行うと、メスの体を傷付けてしまう可能性があります。安易に行うのは避けた方が良いでしょう。

猫の発情期に関するまとめ

二匹の子猫

基本的に春になって日照時間が長くなると猫は発情期を迎えます。最近では完全室内飼いの猫が増え、夜でも明るい照明がついていたりするので、あまり日照時間は関係なく発情するとも言われています。

猫の発情期は、年間2回(春と秋)とされていますが、近年猫の環境が変わり住みやすさが向上されたことで、1年中発情期の猫もいる様です。また、オス猫は発情したメス猫が側にいれば、いつでも交尾の準備が万端にできるとのこと。

猫の発情期を困ったものと捉え不妊手術などを行うのは、人間のエゴかもしれませんが、それらの対策をしない場合、発情期の行動に困った飼い主が猫を捨ててしまい殺処分になる子猫が増えたりと、今の日本の現状では猫を守るためには致し方ない面も多々あります。

猫の発情期について知ることで、何をしなければいけないのかを考えることにつながります!これからの猫と人との楽しい暮らしを創造していくためにもできる事から始めていきましょう☆

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