猫が香箱座りをする理由と由来

猫が香箱座りをする理由と由来

猫の香箱座りとは、両前足を内側に畳んでいるようにしていたり、組んでいたりして、全体的に丸っこくなっている姿のことです。猫をふと見ると、手足が見えなくなっている何とも不思議で可愛い猫の姿が香箱座りなのです。この記事では、猫と香箱座りについて気になるポイントついて解説していきます。

猫の香箱座りとは

猫の香箱座り(こうばこすわり)とは、手足を折りたたんで身体の下にしまいこんだ座り方のことです。猫が「香箱を作る」、「香箱を組む」などと言うこともあります。

パンのような香箱座りをしている猫

香箱座りという呼び方は、香木などの香料を入れておく「香箱」に形が似ていることから名付けられた、と言われています。愛猫家にはおなじみの姿ですが、独特のフォルムがなんとも言えず、可愛らしいですよね。

香箱座りと呼ばれ始めたのは、ネット上で様々な情報が発信され始めてから、と言われていますが、それにしてもレトロな呼び名ですよね!ちなみに英語では一塊のパン(loaf)に似ていることから、”catloaf”と呼ばれています。

猫の香箱座りに似たパン

猫が香箱座りをする理由

茣蓙の上で香箱座りをする猫
  • リラックスしている
  • 飼い主様を信頼している
  • 体調がすぐれないとき
  • 深く眠っている
  • 寒い
  • 周りに敵がいないとき

リラックスしている

猫が香箱座りをするのは、一般的にリラックスしているときと言われています。周りに猫にとっての脅威がないときに、香箱座りをするというのです。手足をしまいこんでいて、すぐに次の姿勢に移れないため、警戒しているときなどは、香箱座りをすることはありません。

もし緊張状態にあれば、何かあったときにすぐ動けるような、例えば前足を前に伸ばしたスフィンクス座りなどの姿勢を取るだろう、と推測されるからです。

ですから、猫が近くで香箱座りをしているときは、飼い主さんを信頼していて全く緊張していない状態だとされています。野良猫ではほとんど見られない座り方のようですので、もし香箱座りをしている野良猫は相当の大物かもしれません。

ちなみに、猫は体を伸ばして眠るよりも香箱座りで眠るほうがより深い眠りにつきやすく、それだけ安心している証拠だと言うことが研究で明らかになったそうです。

飼い主様を信頼している

常に危険が付きまとう外の世界で生きる野良猫は、ほとんど香箱座りをしないというのをご存知でしょうか?これは、敵にいつ襲われても逃げ出せるように常に気を張っている状態であるということと、人間に対して警戒をしているため香箱座りのようなスキを見せるような状態にはならないということが言えるからです。そんな猫が飼い主様の前で常に香箱座りをしているということは、飼い主様は絶対に襲ってこない信頼できる相手だと思っているからだといえます。

深く眠っている

寝ているときに香箱座りをしている愛猫の姿を見て「そんな寝方をしてしんどくはないのだろうか?」と、少々不安になっている方もいるでしょうが、実は猫にとって香箱座りをして眠っている状態は、体を大きく伸ばして眠っている状態よりも深い睡眠をとっている証拠だと言われています。人間の感覚からすれば、ゴロンと寝そべって寝ているほうが熟睡しているような気がしますが実際にそのような研究結果が出ているそうです。少々驚きですね。

体調不良

香箱座りをするのは最上級にリラックスをしている証拠でもありますが、体調が優れないときも香箱座りをします。これはお腹が圧迫されない姿勢が香箱座りのため、横にならずに香箱座りをしているといえます。猫は体調が悪くても隠そうとする動物ですから、少しでも異変を感じたら念のため獣医師に相談をするのがもっとも効果的な病気の予防法です。香箱座りをしたまま動かない、食欲がない、元気がないなどの症状が見られたら病気を疑ってみましょう。

寒い

リラックスしている状態であることは間違いないかもしれませんが、寒いと感じているときも手足を体の中に入れる状態、つまり香箱座りをすることがあります。人間でも、あまりにも寒いと体を丸めて小さくなったり、手を体の中に入れて温まろうとしますよね。それと同じく猫も寒いと感じたら、香箱座りをすることがあるようです。もし、冬になったら急に香箱座りをするようになったという場合は、少し寒いと感じているかもしれませんので室温をチェックしてあげましょう。

猫の香箱座りの名前の由来

トタン屋根で香箱座りをしている猫

香箱とは?

そもそも香箱座りの”香箱”とは、名前の通り”お香を入れておく蓋付きの箱”のこと。茶道や華道の道具で使われる物だそうです。猫が前足をたたみ、おなかを地面につける姿が香箱に似ていることから「香箱座り」と名づけられたようです。その他にも猫が香箱を作る、香箱を組む等の呼び方もあります。

文学の中にもある猫の香箱座り

  • お富の貞操(芥川龍之介)
  • 老年(芥川龍之介)
  • 子供・子供・子供のモスクワ(宮本百合子)
  • 故郷を辞す(室生犀星)
  • 青年(森鴎外)

文学作品では、どれも「香箱を作る」という表現ばかりで、「香箱座り」は見当たりませんでした。「香箱座り」は、最近できた言葉なのかもしれませんね。

香箱座りができない猫

香箱座りができない猫

香箱座りが苦手な猫は、太っていたり、もともと体格が大きかったりして、前足を丸めるのが難しく、どちらかと言えば体が伸びている状態を好みます。香箱座りができない猫もいるという事実を知っておきましょう。

なかには自分なりに香箱座りよりもリラックスできる状態を見つけて寛ぐ猫もいます。仰向けで寝ている場合や体をと伸びて寝ている場合、くつろいでいる場合も、もちろんリラックスしていると言えます。

ちなみに、子猫はパワーが有り余って好奇心が盛んなのでじっとすることは難しく、「香箱座りなんかして、じっとしているヒマはにゃい!」ということがあるようです。

香箱座りする猫以外の生き物

猫と犬

香箱座りは猫特有の座り方という話も聞きますが、実はそうでもないようなのです。猫以外にも、香箱座りをしている姿を目撃されている動物は多数います。

香箱座りをしているうさぎ
香箱座りをしているアルパカ

それは、犬、うさぎ、トラ、ライオン、アルパカ、ひつじ、ヤギなどです。トラやライオンは体が大きいのでしない、とされてきましたが、ネット上を検索すると、香箱座りをしている写真を見ることができます。

うさぎやアルパカは元々体つきが丸っこいので、香箱座りをしているとよりまん丸さが強調され、思わずぎゅっとしたくなってしまいますね!レアな所では、ひつじとヤギです。

もし写真が合成されていたらガセネタとなってしまいますが、そうでない限り、香箱座りをしている姿が激写されています。

違った見解もある猫の香箱座り

香箱座りで眠る猫

「香箱座りは猫がリラックス姿」という意見と逆の見解もあります。確かに前足は折り畳んでいるけれど、後ろ足は隠しながらもしっかりとすぐに踏み込める状態になっているので「完全にリラックスしていない」というのがこの意見の主張です。

たとえ香箱座りをしていても、不測の事態があったときには、強靭な後ろ足で地面を蹴り、すぐに立ち上がって対処できるようになっている、というのです。

本当のところは猫に聞いてみないと分かりませんが、顔はまったりとしていてリラックス状態でも、万が一のときの保険はしっかりと掛けているのかも、しれませんね。さすがは野生生物です!スキがありません。

まとめ

子猫

様々な姿を見せてくれる猫は、本当に面白く可愛いですね。「手足はドコにいっちゃったの?」とキュンキュンしながら思わず話しかけてしまう香箱座りは飼い主を幸せにしてくれる魔法の座り方です。

猫の飼い主さんなら、この香箱座りを見ると、自分には警戒心が無く信頼してくれているということがわかりますから、きっと嬉しくなりますよね。もし新しい猫を迎えた際には、香箱座りを「慣れ」の見極めるポイントとして見てみるのもよいのではないでしょうか。

猫の飼い主として信頼されると言うのはとても嬉しいことです。「信頼されているんだな」という気持ちを猫の香箱座りを見て実感し、至福の時をお過ごしください!

投稿者

40代 女性 まかぶらあろたる

この記事を読みながら、わが家の愛猫のことを思い返してみました。
香箱座りって確かに可愛らしい座り方ですよね!
正面から見ると前足が完全に身体の下に隠れていて、まるでダルマさんのような姿!大好きな猫の仕草のうちの1つです。

ところがわが家の愛猫さんは、この香箱座り、そんなに頻繁にしていないということに気づきました。寝姿でリラックスの度合いをそこまで深く考えたことが無かったのですが、この記事を読んでみて、あることを確信しました。それは、わが家の愛猫さん、家の中で完全にリラックスしているのだろうということ!
写真を添付していますが、うちの子は基本的に2枚目のように、身体を投げ出したりふんぞり返ったりして爆睡しています。
ちなみに1枚目に、とても貴重な香箱座りの姿のショットがありますが、この時とても体調が悪くて嘔吐を繰り返していた際の写真です。

香箱座りはいつでも次の行動に行けるよう、完全なリラックス姿勢ではないことが記事の中で書かれていましたが、それをこれらの写真が証明してくれているように思います。いつでも我がもの顔の子が、体調不良の時に限って香箱座り。
写真を撮った時は、珍しい姿勢!可愛いーー!と思っていましたが、そこにはいつもと違う緊張と不安があったのかと思うと、分かってあげられなくてごめん!というちいさな後悔があります。

些細な仕草や姿勢で、その時々の心を表していることが分かりました。もっと細やかに目を向けて、理解を深めていくことができればと改めて考える、よい機会となりました。
投稿者

30代 女性 tororo

香箱座りに関しては、記事にあったように「リラックスしている」「警戒している」と全く別の見解がありますよね。その事を知ってから、愛猫が香箱座りをしている時の様子や状況をじっくり観察してみたのですが、やはり両方の意味を持つ座り方のようでした。と言うのも、本当にリラックスしてゆっくり瞬きをしながら香箱座りをしている時もあれば、同居している他の猫に対して目を光らせながら香箱座りしている時もあったのです。ただ、比較的室温が低い時に香箱座りをしている事が多いように思います。香箱座りをすると、足が隠れて小さく丸まるので、暖かいのかもしれませんね。

そもそも猫には、香箱座りをしているから○○!という様な、明確な意思がある訳ではないのかもしれません。香箱座りと同様に、愛猫家に人気のある「ヘソ天」なんかは、まさにリラックスしていないと出来ない事でしょうが、香箱座りについてはその限りではないのでしょう。それに、香箱座りが苦手な猫、本当に居るんですよ。うちの雑種猫がまさにそれです。香箱座りと言えば、足はどこに行ったの~?というのが、たまらなく可愛いのですが、それが上手くできないようなのです;本人は香箱座りをしているつもりなのでしょうが、どうしても足がピョンと飛び出すんですよね(笑)特別足が長い訳でも、短い訳でもないのですが…。だから記事にあったように香箱座りをしない(できない)猫もたくさん居るので安心しましょう~!
投稿者

女性 ケロキ

香箱座りはリラックスしていると言われたり、リラックスしていないと言われたりしていますよね。猫を飼い始めたばかりのときは、愛猫の気持ちを知りたくて「この座り方をしているときはどんな気持ちだ?」と色々と観察しました。我が家の猫の場合、香箱座りの時はリラックスの前段階のときが多いようです。目を閉じたり薄目にしていますが、耳だけはしっかり家族がいる方を向いています。じっと動かずに周りの音や雰囲気を感じ取り「寝ても大丈夫かな?」とチェックをしているようです。安心だと判断すると足を崩して寝る体勢をとります。その他では、猫に話しかけているときに香箱座りをしているときが多く、リラックスしてくれているといいなと思います。香箱座りは猫によって、状況によって意味が違うのかもしれないです。
猫がどんな気持ちかは別にして、たたんだ前足の間に指を入れたくなってしまいますね。

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