猫のおしりが臭う原因とケアの仕方について

猫のおしりが臭う原因とケアの仕方について

近年の猫ブームで、家で猫を飼う方が増えています。猫を飼育したことがある方は、もしかしたら飼い猫のおしりのニオイを経験したことがあるかもしれません。猫のおしりが臭うのはどういうことなのでしょうか。ニオイの原因は様々あり、一概に決める事はできません。この記事では、ニオイの原因、ケアの仕方、対処法など猫のおしりについて紹介します。

SupervisorImage

記事の監修

北里大学獣医学科卒業。埼玉県内の動物病院で勤務医をしながら教育・研究にも携わっており、大学では『伴侶動物の鉄代謝』をテーマに研究しています。『猫は小さな犬ではない』という格言のもと、何よりも猫ちゃんの健康と福祉の向上を一番に考え、日々の診療に励んでおります。

猫のおしりのニオイの役割

猫のおしり

猫のおしりのニオイが気になったり、きついニオイを不快に思ったりしたことはありませんか?猫のおしりが臭うということは、もしかしたら病気なのか、体の不調が関連していないか、心配になります。

猫のおしりが臭う原因の一つは、排便をした際に臭い袋が圧迫されて中の分泌液が出るからです。また、興奮やストレスが原因でニオイが出る猫もいるようです。縄張り争いをした時、怖い目にあった時、また、甘えている時にニオイが出てしまう猫もいます。ニオイを出すことで自分を表現したり、縄張りの主張もしたりしています。猫同士、ニオイでコミュニケーションを取っているため、とても重要な役割を果たしていると言えます。

分泌液は茶色〜黒、中には緑がかった色で、サラサラ、ネバネバし、ニオイも個体ごとに違います。このニオイは一時的なものですぐに消えますが、カーペットなどについてしまった場合はなかなか取れません。

猫のおしりが臭う原因

猫の顔

猫のおしりには、肛門の左右に1つずつ、肛門嚢(こうもんのう)と呼ばれる袋がついています。「嚢(のう)」とは袋の意味で、強いニオイがする分泌液が入っており、そのニオイは個体ごとに違います。

この分泌液は通常、ある程度自然と肛門嚢から排出されるのですが、うまく出せなかったり、肛門嚢が炎症を起こしてしまうこともあります。分泌液は猫それぞれ個体差があり、溜まるスピードも違います。肛門嚢が詰まったままの状態が続くと、さらに大きくなり破裂してしまいます。多くの猫はさらに大きくなり肛門嚢が破裂してしまいます。多くの猫はあまり心配はありませんが、分泌液が泥状、やペースト状で出しにくい場合猫は『肛門腺絞り』といって人の手で排出してあげないといけないこともあります。猫のおしりに詰まった分泌液を出してあげる行為を「肛門腺しぼり」と言います。

猫のおしりのケア

猫の保定

猫のおしりはデリケートな部分でもあり、日々のケアとても重要なことです。長毛種、老猫、太り過ぎの猫は、どうしてもケアがおろそかになってしまうようです。お手入れを怠ると、肛門腺炎や肛門腺破裂などの病気になってしまう事もあります。そうならないためにも飼い主さんの慎重なケアが重要となります。

肛門腺しぼりが必要な猫

多くの猫は分泌物が自然と排出されますが、そうでない場合は人間が出してあげなくてはいけません。肛門腺しぼりが必要な猫とはいったいどんな猫なのかを以下で紹介していきます。

  • おしりから出る分泌物が泥状、ペースト状
  • 過去に肛門腺破裂を起こしたことがある
  • 分泌物がたまると、おしりをこすりつけたり舐めたりする
  • 肛門周辺に腫れや赤みがあり、排便時に痛がる

肛門腺炎や破裂が重症化した場合、手術で肛門嚢を摘出しなければならないようなこともあるので日々の様子をよく観察してあげましょう。

肛門腺のしぼり方

肛門腺をしぼる際、まずは猫がリラックス状態であることが重要となります。猫はおしりを触られるのを嫌がるため、一人での作業は大変のようです。一人は猫のおしりを押さえ、もう一人が行うと良いでしょう。ガーゼ、脱脂綿を準備します。また、飼い主は事前に爪を切っておき、清潔を保ちましょう。

では、肛門腺しぼりの手順を紹介します。

  • ガーゼを肛門に当て、肛門下、4時と8時の位置を押しつぶすようにしぼる
  • 下から上に押し上げ、ガーゼで分泌物をやさしく吹き取る
  • 2~3回繰り返す
  • 月に1〜2回程度の頻度で行いましょう

押しつぶす際、肛門嚢が硬くなかなか絞れない場合は無理せず動物病院に相談しましょう。長毛種の場合、肛門まわりの毛をカットしておくと手際よく行うことができるでしょう。また、洗い流すことができるお風呂場で行うのが有効です。

肛門腺しぼりが初めてで自信がない場合、かかりつけの動物病院に相談してみてはいかがでしょうか。やり方を指導してもらうと、うまく行うことができそうです。また、トリミングをした際にトリマーさんにお願いするのも良いでしょう。

猫はおしりを触られるのを嫌がります。しかし、日頃からおしりのチェックも忘れずに行いたいですね。

まとめ

振り返る猫

猫のおしりについて紹介しました。猫と暮らすうえで、おしりのケアはとても重要です。猫のおしりには門嚢と呼ばれる袋があり、健康でもそこからの分泌液でおしり周りが臭うことがあります。一方で、肛門腺がうまく出ない猫では破裂や肛門腺炎になる可能性もあるので飼い主さんの観察は欠かせません。日頃の健康管理の際、おしりのチェックも行いたいですね。ですが、無理せず難しい場合は動物病院に相談しましょう。

スポンサーリンク